Cline完全ガイド2026 - VS Code AI自律コーディング、プラン&アクト、MCP連携の実践入門
目次
- Clineとは何か
- Clineのインストールと初期設定
- APIキーの設定方法
- Plan Mode と Act Mode の使い分け
- カスタムインストラクションの活用
- .clinerules によるプロジェクト固有ルール
- MCPサーバー連携
- 実践ワークフロー
- 効果的に使うためのTips
- Cursor・Copilot・Windsurfとの比較
- トラブルシューティング
- まとめ
Clineとは何か
Clineは、VS Code上で動作するAI自律コーディングアシスタントの拡張機能である。旧名称「Claude Dev」として知られていたプロジェクトが発展し、現在はClineとしてオープンソースで開発が続けられている。
従来のAIコーディングツールがコード補完や質問応答に特化していたのに対し、Clineは「自律的にタスクを遂行する」という点で一線を画す。ファイルの作成・編集、ターミナルコマンドの実行、ブラウザの操作まで、開発に必要な一連の作業をAIが主体的に進められる仕組みになっている。
Clineの主な特徴
自律的なタスク実行
Clineは単なるコード生成ツールではない。「このAPIのCRUDエンドポイントを実装して」と依頼すれば、ファイルの作成、依存関係のインストール、テストの実行まで一貫して行う。各ステップでユーザーの承認を求めるため、意図しない操作が行われる心配はない。
ファイルシステムへのアクセス
プロジェクト内のファイルを読み書きできる。既存コードを理解した上で、整合性のある変更を加えることが可能だ。差分表示によって、どの行がどう変わるのかを確認してから承認できる。
ターミナル操作
npm installやgit commitといったターミナルコマンドを実行できる。ビルドエラーが出れば、その出力を読み取って自動的に修正を試みる。
ブラウザ操作
開発サーバーを起動してブラウザで確認し、スクリーンショットを取得してUIの検証を行うこともできる。フロントエンド開発において、見た目の確認まで含めた自律的な開発が実現する。
マルチプロバイダー対応
Claude(Anthropic)、OpenAI、Google Gemini、AWS Bedrock、Azure OpenAI、OpenRouter、さらにはOllamaやLM Studioなどのローカルモデルまで、幅広いAIプロバイダーに対応している。
Clineのインストールと初期設定
前提条件
- VS Code 1.80以降
- Node.js 18以降(MCPサーバー利用時)
インストール手順
- VS Codeを起動する
- サイドバーの拡張機能アイコンをクリック(またはCtrl+Shift+X)
- 検索欄に「Cline」と入力する
- 「Cline」(作者: saoudrizwan)を選択し、「インストール」をクリックする
インストールが完了すると、サイドバーにClineのアイコンが追加される。初回起動時にAPIキーの設定を求められるので、次のセクションで説明する手順に従って設定する。
基本的なUI構成
Clineのインターフェースは以下の要素で構成されている。
- チャットパネル: AIとの対話を行うメイン領域
- タスク入力欄: 依頼内容を入力するテキストボックス
- 承認ボタン: AIが提案した操作を承認・拒否するボタン
- 設定アイコン: APIキーやモデル選択などの設定画面へのアクセス
- 履歴: 過去のタスク履歴の参照
APIキーの設定方法
Clineを使うためには、いずれかのAIプロバイダーのAPIキーが必要になる。主要なプロバイダーごとの設定方法を解説する。
Anthropic Claude(推奨)
Clineは元々Claude向けに最適化されており、現在もClaudeとの相性が最も良い。
- Anthropic Consoleにアクセスする
- アカウントを作成またはログインする
- 「API Keys」セクションで新しいキーを生成する
- Clineの設定画面で「Anthropic」を選択し、APIキーを貼り付ける
- モデルは「claude-sonnet-4-20250514」または「claude-opus-4-20250514」を選択する
# 料金目安(2026年3月時点)
Claude Sonnet 4: 入力 $3 / 出力 $15(100万トークンあたり)
Claude Opus 4: 入力 $15 / 出力 $75(100万トークンあたり)
コストを抑えたい場合はSonnet、品質を重視する場合はOpusを選択するとよい。
OpenAI
- OpenAI PlatformでAPIキーを取得する
- Clineの設定画面で「OpenAI」を選択する
- APIキーを入力し、モデルを選択する
GPT-4oまたはo3が利用可能だ。ただし、ファイル編集の精度においてはClaudeに一日の長がある。
Google Gemini
- Google AI StudioでAPIキーを取得する
- 「Google Gemini」を選択し、キーを入力する
Gemini 2.5 Proは長いコンテキストウィンドウが特徴で、大規模なコードベースの分析に適している。
OpenRouter(複数モデル切り替え)
OpenRouterを使えば、単一のAPIキーで複数のモデルを切り替えて使える。
- OpenRouterでアカウントを作成する
- APIキーを取得する
- Clineの設定画面で「OpenRouter」を選択する
- 利用したいモデルを選択する
コスト管理がしやすく、モデルの比較検討にも便利な選択肢である。
ローカルモデル(Ollama / LM Studio)
インターネット接続なしで、ローカルで動作するモデルを使うことも可能だ。
# Ollamaの場合
ollama pull qwen2.5-coder:32b
ollama serve
Clineの設定画面で「Ollama」を選択し、ホスト(デフォルトはhttp://localhost:11434)とモデル名を入力する。ローカルモデルは機密性の高いコードを扱う場合や、APIコストを完全にゼロにしたい場合に有効だが、品質はクラウドモデルに比べて劣る点に注意が必要である。
Plan Mode と Act Mode の使い分け
ClineにはPlan ModeとAct Modeの2つの動作モードがあり、これを適切に使い分けることが生産性向上の鍵になる。
Plan Mode
Plan Modeは、AIが実際のファイル操作やコマンド実行を行わず、計画の立案と議論に集中するモードだ。
使うべき場面:
- 新機能の設計段階
- リファクタリングの方針検討
- 複雑なバグの原因調査
- アーキテクチャの議論
# Plan Modeでの依頼例
「このプロジェクトのディレクトリ構造を確認して、
認証機能を追加するための実装計画を立ててください。
既存のコードとの整合性を考慮してください。」
Plan Modeでは、AIがプロジェクトのファイルを読み取って状況を理解した上で、実装計画を提示する。計画に納得できたら、Act Modeに切り替えて実装を進める流れになる。
Act Mode
Act Modeは、AIが実際にファイルの作成・編集、コマンドの実行を行うモードだ。
使うべき場面:
- 具体的な実装作業
- バグ修正
- テストの作成と実行
- 定型的なコード生成
# Act Modeでの依頼例
「src/api/auth.tsに、JWTベースの認証ミドルウェアを実装してください。
テストも一緒に書いてください。」
実践的な切り替えパターン
効果的な開発フローは以下のようになる。
- Plan Mode: 「〇〇機能を実装したい。既存コードを確認して計画を立てて」
- 計画を確認し、必要に応じて修正を依頼する
- Act Mode: 「この計画で実装を進めて」
- 各ステップの承認を行いながら実装を見守る
- Plan Mode: 「実装結果をレビューして、改善点があれば教えて」
この「計画→実装→レビュー」のサイクルを回すことで、AIの暴走を防ぎつつ効率的に開発を進められる。
Auto-Approve設定
Act Modeでは、操作ごとに承認を求められるのがデフォルトだが、信頼できる操作については自動承認を設定できる。
設定画面の「Auto-approve」セクションで、以下の項目ごとに自動承認のオン・オフを切り替えられる。
- Read files: ファイルの読み取り(安全なのでオン推奨)
- Edit files: ファイルの編集
- Execute commands: ターミナルコマンドの実行
- Use browser: ブラウザ操作
- Use MCP tools: MCPツールの使用
ファイル読み取りの自動承認をオンにするだけでも、対話のテンポが大きく改善される。
カスタムインストラクションの活用
カスタムインストラクションは、Clineに対してグローバルに適用される指示を設定する機能だ。コーディングスタイル、使用言語、プロジェクト横断的なルールを定義できる。
設定方法
Clineの設定画面下部にある「Custom Instructions」テキストエリアに記述する。
効果的なカスタムインストラクション例
# 基本方針
- 日本語でコメントとコミットメッセージを書くこと
- TypeScriptを使用し、anyの使用を避けること
- 関数にはJSDocコメントを付けること
- エラーハンドリングを必ず実装すること
# コードスタイル
- インデントはスペース2つ
- 文字列はシングルクォートを使用
- セミコロンなし
- import文はグループ化してアルファベット順に並べる
# テスト
- 新しい関数には必ずユニットテストを書くこと
- テストフレームワークはVitestを使用
- テストファイルは __tests__ ディレクトリに配置
# Git
- コミットメッセージはConventional Commits形式
- 1コミット1機能の粒度を守る
カスタムインストラクションのポイント
- 具体的に書く: 「きれいなコードを書いて」ではなく、具体的なルールを明示する
- 優先順位をつける: 重要なルールほど先に記述する
- 矛盾を避ける: 相反する指示を書かないように注意する
- 定期的に見直す: プロジェクトの進化に合わせて更新する
.clinerules によるプロジェクト固有ルール
.clinerulesファイルは、プロジェクトのルートディレクトリに配置することで、そのプロジェクト固有のルールをClineに伝える仕組みだ。カスタムインストラクションがグローバル設定であるのに対し、.clinerulesはプロジェクトローカルの設定として機能する。
基本的な使い方
プロジェクトルートに.clinerulesファイルを作成する。
touch .clinerules
.clinerules の記述例
# プロジェクト概要
このプロジェクトはNext.js 15 + TypeScript + Prisma + PostgreSQLで
構築されたSaaSアプリケーションです。
# ディレクトリ構造
- src/app/ : Next.js App Routerのページ
- src/components/ : Reactコンポーネント(Atomic Design)
- src/lib/ : ユーティリティ関数
- src/server/ : サーバーサイドロジック
- prisma/ : データベーススキーマとマイグレーション
# 技術スタック
- フレームワーク: Next.js 15 (App Router)
- 言語: TypeScript 5.x (strict mode)
- ORM: Prisma
- スタイリング: Tailwind CSS v4
- 認証: NextAuth.js v5
- テスト: Vitest + Testing Library
- Linter: Biome
# コーディング規約
- Server Componentsをデフォルトとし、インタラクションが必要な
場合のみ "use client" を使用する
- データフェッチはServer Componentsで行う
- APIルートは src/app/api/ に配置する
- 型定義は src/types/ に集約する
- Prismaスキーマ変更後は必ず prisma migrate dev を実行する
# 禁止事項
- console.log をプロダクションコードに残さない
- any型の使用禁止(unknown + 型ガードを使う)
- インラインスタイルの使用禁止
- default exportの使用禁止(ページコンポーネントを除く)
.clinerules と .clinerules ディレクトリ
Clineの最新版では、.clinerulesをディレクトリとして作成し、複数のルールファイルを分割管理することもできる。
.clinerules/
├── 01-project-overview.md
├── 02-coding-standards.md
├── 03-testing-rules.md
└── 04-deployment-guide.md
番号プレフィックスを付けることで読み込み順序を制御できる。大規模プロジェクトではこの方式が管理しやすい。
チームでの活用
.clinerulesはプロジェクトのリポジトリにコミットできるため、チーム全員が同じルールのもとでClineを使える。これはカスタムインストラクション(各個人のVS Code設定に依存)にはない大きな利点である。
# .gitignoreに追加しない(チームで共有する)
git add .clinerules
git commit -m "feat: Clineのプロジェクトルールを追加"
MCPサーバー連携
MCP(Model Context Protocol)は、Anthropicが策定したオープンプロトコルで、AIアシスタントに外部ツールやデータソースへのアクセスを提供する仕組みだ。ClineはこのMCPに対応しており、様々な外部サービスと連携できる。
MCPの基本概念
MCPサーバーは、特定の機能を提供する小さなサービスとして動作する。ClineがMCPクライアントとなり、MCPサーバーが提供するツールを呼び出す形で連携が行われる。
Cline (MCPクライアント)
├── ファイルシステム MCPサーバー
├── データベース MCPサーバー
├── GitHub MCPサーバー
├── Slack MCPサーバー
└── 自作 MCPサーバー
MCPサーバーの設定方法
Clineの設定画面で「MCP Servers」セクションを開き、サーバーの設定を追加する。設定はJSON形式で記述する。
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@modelcontextprotocol/server-filesystem",
"/path/to/allowed/directory"
]
},
"github": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
"env": {
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "ghp_xxxxxxxxxxxx"
}
}
}
}
主要なMCPサーバー
ファイルシステム
プロジェクト外のディレクトリへのアクセスを提供する。
npx -y @modelcontextprotocol/server-filesystem /home/user/documents
GitHub
リポジトリの操作、Issue管理、プルリクエストの作成が可能になる。
npx -y @modelcontextprotocol/server-github
活用例:
- 「このバグのIssueを作成して」
- 「mainブランチに対するPRを作成して」
- 「最新のIssue一覧を確認して」
PostgreSQL / SQLite
データベースへの直接クエリを実行できる。
npx -y @modelcontextprotocol/server-postgres postgresql://localhost:5432/mydb
活用例:
- 「usersテーブルの構造を確認して」
- 「直近24時間のエラーログを集計して」
Fetch
外部APIへのHTTPリクエストを実行できる。
npx -y @modelcontextprotocol/server-fetch
活用例:
- 「このAPIエンドポイントのレスポンスを確認して」
- 「APIドキュメントのページを取得して内容を要約して」
Brave Search
Web検索を実行できる。技術的な調査に役立つ。
npx -y @modelcontextprotocol/server-brave-search
自作MCPサーバーの作成
プロジェクト固有のツールが必要な場合、MCPサーバーを自作できる。TypeScript SDKを使った実装例を示す。
import { McpServer } from '@modelcontextprotocol/sdk/server/mcp.js'
import { StdioServerTransport } from '@modelcontextprotocol/sdk/server/stdio.js'
import { z } from 'zod'
const server = new McpServer({
name: 'my-project-tools',
version: '1.0.0',
})
// デプロイステータス確認ツール
server.tool(
'check-deploy-status',
'デプロイの状況を確認する',
{
environment: z.enum(['staging', 'production']).describe('確認する環境'),
},
async ({ environment }) => {
const status = await fetchDeployStatus(environment)
return {
content: [
{
type: 'text',
text: `${environment}のデプロイ状況: ${status.state}\n` +
`最終デプロイ: ${status.lastDeploy}\n` +
`バージョン: ${status.version}`,
},
],
}
}
)
// サーバー起動
const transport = new StdioServerTransport()
await server.connect(transport)
このサーバーをClineに登録すれば、「本番環境のデプロイ状況を確認して」と依頼するだけで情報が取得できる。
実践ワークフロー
ここでは、実際の開発シーンにおけるClineの活用パターンを紹介する。
ワークフロー1: 新機能の実装
REST APIのCRUDエンドポイントを追加する例。
# Step 1: Plan Modeで計画
「usersリソースのCRUD APIを実装したい。
既存のプロジェクト構造を確認して実装計画を立てて」
# Step 2: 計画を確認・修正
「バリデーションにはzodを使って。
ページネーションも実装して」
# Step 3: Act Modeで実装
「計画に沿って実装を進めて。テストも書いて」
# Step 4: テスト実行と修正
「テストを実行して、失敗があれば修正して」
ワークフロー2: バグ修正
エラーログからバグを特定して修正する例。
# エラー情報を伝える
「以下のエラーが発生している。原因を調査して修正して。
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading 'map')
at UserList (src/components/UserList.tsx:23:18)
at renderWithHooks (node_modules/react-dom/...)
」
Clineは該当ファイルを読み取り、エラーの原因を特定し、修正パッチを提案する。データがundefinedの場合のガード処理を追加するなど、適切な修正を行う。
ワークフロー3: リファクタリング
# Plan Modeで分析
「src/utils/helpers.ts が500行を超えている。
責務ごとにファイルを分割する計画を立てて」
# Act Modeで実行
「計画通りに分割して。importの更新も全ファイルで行って。
テストが通ることを確認して」
ワークフロー4: テスト駆動開発(TDD)
「以下の仕様でcalculateTax関数のテストを先に書いて。
- 所得金額を受け取り、所得税額を返す
- 2026年の税率テーブルに準拠
- 復興特別所得税(2.1%)を加算する
- 負の値にはエラーを投げる
テストが書けたら実行して失敗を確認し、
その後で実装を書いてテストを通して」
ClineはTDDのRed-Green-Refactorサイクルを理解しており、テストを先に書いてから実装を行う流れを自然にこなす。
ワークフロー5: ドキュメント生成
「src/lib/ 以下の公開関数について、
JSDocコメントが不足しているものを特定して追加して。
また、API仕様書をOpenAPI 3.1形式で docs/api.yaml に生成して」
効果的に使うためのTips
1. コンテキストを明確に伝える
AIは前提知識を持たないため、必要な情報を明示的に伝えることが重要だ。
# 悪い例
「ログイン機能を直して」
# 良い例
「src/app/api/auth/login/route.ts のログインAPIで、
パスワードが間違っている場合に500エラーが返される問題がある。
401エラーを返すように修正して。
エラーレスポンスの形式は src/types/api.ts のErrorResponse型に
合わせて」
2. 段階的に進める
大きなタスクを一度に依頼するよりも、段階的に進める方が品質が高くなる。
# 大きすぎるタスク
「ECサイトを作って」
# 段階的なタスク
「Step 1: 商品一覧ページのコンポーネントを作って」
「Step 2: 商品詳細ページを追加して」
「Step 3: カート機能を実装して」
3. 差分を必ず確認する
Clineがファイルを編集する際は、差分が表示される。必ず目を通してから承認すること。AIが意図しない変更を加えることは珍しくない。特に以下の点に注意する。
- 既存の機能が壊れていないか
- 不要なコードが追加されていないか
- セキュリティ上の問題がないか
4. APIコストを管理する
Clineはタスクごとのトークン使用量とコストを表示してくれる。以下の方法でコストを最適化できる。
- Plan Modeを活用: 実装前に計画を固めることで、やり直しを減らす
- 小さなタスクに分割: コンテキストが膨らみすぎないようにする
- 適切なモデル選択: 簡単なタスクにはSonnet、複雑なタスクにはOpusを使い分ける
- 不要な会話をクリア: 新しいタスクは新しいチャットで始める
5. @メンションでコンテキストを追加する
チャット入力時に@を入力すると、ファイルやディレクトリを明示的にコンテキストとして追加できる。
@src/components/Button.tsx このコンポーネントにローディング状態を追加して
大きなプロジェクトでは、AIが関連ファイルを見つけるのに時間がかかることがある。@メンションで直接指定すれば、無駄なファイル探索を省略でき、トークン消費も抑えられる。
6. タスクの再開と履歴活用
Clineは過去のタスク履歴を保持している。中断したタスクを再開したり、過去のタスクの結果を参照したりできる。VS Codeを再起動しても履歴は保持される。
7. 画像をコンテキストとして渡す
UIのモックアップやデザインカンプの画像をClineに渡して、それに基づいた実装を依頼できる。
「添付した画像のデザインに合わせて、
ダッシュボードページのコンポーネントを実装して。
Tailwind CSSを使って」
Cursor・Copilot・Windsurfとの比較
2026年現在、AIコーディングツールの選択肢は豊富になった。主要なツールとClineを比較する。
比較表
| 項目 | Cline | Cursor | GitHub Copilot | Windsurf |
|---|---|---|---|---|
| 種別 | VS Code拡張 | 専用エディタ | VS Code拡張 | 専用エディタ |
| 自律コーディング | 強い | 強い | 中程度 | 強い |
| コード補完 | なし | 強い | 強い | 強い |
| 料金体系 | API従量課金 | 月額$20〜 | 月額$10〜 | 月額$15〜 |
| モデル選択 | 自由 | 制限あり | 制限あり | 制限あり |
| MCP対応 | 対応 | 対応 | 一部対応 | 対応 |
| OSS | はい | いいえ | いいえ | いいえ |
| ブラウザ操作 | 対応 | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
Clineの強み
完全なモデル自由度
Clineは特定のモデルに縛られない。Claude、GPT-4o、Gemini、ローカルモデルなど、用途に応じて自由に切り替えられる。CursorやWindsurfは利用できるモデルに制限がある場合が多い。
オープンソース
Clineはコードが公開されており、動作の透明性が高い。企業のセキュリティポリシーで承認を得やすいという実務上の利点もある。
VS Code資産の活用
既存のVS Code拡張機能、設定、キーバインドをそのまま使える。Cursorは独自エディタのため、VS Codeの一部の拡張機能が動作しない場合がある。
MCP連携の柔軟性
MCPサーバーのエコシステムが充実しており、自作も容易だ。データベース、クラウドサービス、社内ツールなど、幅広い連携が可能。
ブラウザ操作
開発中のWebアプリをブラウザで起動し、スクリーンショットを取得してUIを検証できる機能は、2026年3月時点でCline独自の強みと言える。
Clineの弱み
コード補完機能がない
Clineにはインラインのコード補完機能がない。タイピング中にリアルタイムで候補が表示されるCopilotやCursorの体験とは異なる。コード補完が必要な場合は、CopilotやSupermaven等を併用するのが現実的だ。
API従量課金
月額固定ではなく、使った分だけ課金される。ヘビーに使うと月額$50を超えることも珍しくない。ただし、軽い使い方であればCursorの月額$20より安くなる可能性もある。
初期設定のハードル
APIキーの取得やMCPサーバーの設定など、初期設定に一定の技術的知識が必要。CursorやCopilotに比べると「インストールしてすぐ使える」感は弱い。
推奨する使い分け
- Cline: 自律的なタスク実行、MCP連携、モデル選択の自由度を重視する場合
- Cursor: エディタごと統合されたAI体験を求める場合。Tab補完が強力
- GitHub Copilot: コード補完を中心に使いたい場合。チーム導入のしやすさ
- Windsurf: CursorのようなAIエディタ体験を、より低価格で試したい場合
実際のところ、Cline + GitHub Copilot(またはSupermaven)の組み合わせが最も生産性が高いという声も多い。Clineで大きなタスクを自律的に処理し、日常的なコーディングではCopilotの補完に頼るというハイブリッド運用だ。
トラブルシューティング
APIキー関連のエラー
症状: 「Invalid API key」エラーが表示される
# 確認事項
1. APIキーが正しくコピーされているか(余分な空白がないか)
2. APIキーに利用制限がかかっていないか
3. 選択したプロバイダーとAPIキーが一致しているか
4. APIアカウントにクレジットが残っているか
MCPサーバーが起動しない
症状: MCPサーバーのステータスが「disconnected」のまま
# Node.jsのバージョン確認
node --version # 18以上が必要
# npxが利用できるか確認
npx --version
# MCPサーバーを手動で起動してエラーを確認
npx -y @modelcontextprotocol/server-filesystem /tmp
レスポンスが途中で切れる
症状: AIの回答が途中で止まる
これはモデルの出力トークン上限に達した場合に起こる。「続けて」と入力すれば、続きを生成してくれる。頻繁に起こる場合は、タスクを小さく分割することを検討する。
ファイル編集が反映されない
症状: Clineが編集したはずのファイルが変わっていない
VS Codeのファイル監視が追いついていない場合がある。ファイルを閉じて再度開くか、Ctrl+Shift+Pから「File: Revert File」を実行する。
コスト超過の防止
想定以上のAPIコストが発生することを防ぐため、以下の対策を講じる。
- Anthropic ConsoleでUsage Limitを設定する
- Clineの設定で「Max Tokens per request」を制限する
- 大きなタスクは小さく分割して段階的に進める
- 不要になったチャットは早めにクリアする
まとめ
Clineは、2026年現在のAIコーディングツールの中で、最も自律性が高く柔軟なVS Code拡張機能の一つである。
Clineを使いこなすための要点を整理する。
-
Plan Modeで計画、Act Modeで実行: この切り替えを意識するだけで、作業品質とコスト効率が大きく向上する
-
カスタムインストラクションと.clinerules: グローバルルールとプロジェクト固有ルールを適切に設定することで、AIの出力品質が安定する
-
MCP連携で機能拡張: GitHub、データベース、外部APIなど、開発に必要なツールとの連携により、Clineの活用範囲が大幅に広がる
-
段階的なタスク依頼: 一度に大きなタスクを投げるのではなく、段階的に進めることで品質を担保する
-
差分確認を怠らない: AIの出力を盲目的に信頼せず、必ず差分を確認してから承認する
-
コスト管理: API従量課金のため、使用量の監視とモデルの使い分けが重要
AIコーディングツールは急速に進化しており、Clineも頻繁にアップデートされている。公式リポジトリ(https://github.com/cline/cline)のリリースノートを定期的にチェックし、新機能をキャッチアップすることをお勧めする。